「質的研究」とは、対象者へ現象に関する聴き取りを行い、それを文章化して当該現象にどのような効果や問題があるのかを理解しようとする研究手法のことです。
代表例としては、フィールドワークやマーケティング、観察調査などが挙げられます。
現代の医療には疾患のみではなく、患者周囲の状況をも含めた「問題」を明確化するNBM(Narrative based Medicine)が求められています。つまり医療人には、「問題」に関わる患者・家族に共通理解や合意をもたらすようなファシリテーターとしての役割も期待されており、その手立てとして「質的研究」がより大切になってきています。
本書は、なぜ医療者に「質的研究」というセンスが必要なのかを詳細に述べるとともに、科学的に説得力のある「質的研究」に取り組むための基本的なアプローチについてわかりやすく解説しています。
また、実際の研究の「はじめの一歩」につながるよう、患者理解のための医療実践や医療人養成に関する質的研究の具体的な事例も紹介しています。
より良い医療を目指して医療実践の中で「関心がある現象」について理解し、「状況」を改善するための『質的研究』を始め、自分自身はもちろん、学生を含めた後輩医療人の成長につなげるための一助となる一冊です。
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≪目次≫
序 章 医療人になぜ質的研究が必要なのか?
第1章 質的研究を始めるにあたって
1 質的研究と量的研究
2 人間(患者)理解のための研究方法とは-実践報告から実践研究へ-
第2章 質的研究の研究デザイン
1 質的アプローチの基本的考え方(主にM-GTAに注目して)
2 M-GTAの考え方とアプローチ方法
3 質的研究アプローチの段階と手順
4 質的研究における研究倫理の問題
第3章 多様な研究事例と応用例
1 観察記録に基づいた研究事例
2 自由記述に基づいた研究事例
3 ポートフォリオに基づいた研究事例
4 インタビューに基づいた研究事例①
5 インタビューに基づいた研究事例②
終章
【編者】片岡 竜太(昭和大学歯学部 スペシャルニーズ口腔医学講座歯学教育学部門 教授)
渡邊洋子(新潟大学創生学部生涯教育学 教授)
【判型・頁】A5判・106頁
【定価】本体2,000円+税
【発行】2021年7月
ISBN978-4-8408-1559-8