≪概 要≫
日本の科学行政の基本方針は、総合科学技術会議の議を経て決定される。
最近では、「最先端研究開発支援プログラム」「タンパク3000プロジェクト」など巨費を投じる国家プロジェクトが次々と打ち上げられている。これらのプロジェクトは、総合科学技術会議の審議を経て、この会議の議長である内閣総理大臣によって承認され、実際にスタートする。プロジェクト一件につき、基盤研究のための科研費として数百億から2000億円を超える莫大な税金が投じられているが、プロジェクトの最終決定に係る時間はわずか1時間程度であるという。
この巨額の研究費がどのような審査によって決定され,どのように使われているのか、誰しも疑問をもつのは当然のことであろう。
著者はこれらの巨大国家プロジェクトについて、「誰が、どのように決定するのか?」,「どのようにして生み出されていくのか?」を内閣のウェブサイトから総合科学技術会議の議事録、配付資料、文部科学省の資料等に基づき徹底的に精査し、鋭く指摘している。
日本の科学の将来を担う若手研究者に夢と希望を託した著者渾身の1冊である。